パートナーとの間に横たわるセックスレスという深い溝。満たされない寂しさや欲求不満から、つい他の人に心が揺らいでしまったり、あるいはパートナーの浮気を知ってしまったり…。「セックスレスだから浮気されても仕方ないの？」「この関係、どうしたらいいの？」と、一人で抱え込んでいませんか。本記事では、セックスレスと浮気の問題に悩むあなたに寄り添い、その原因や心理、そして具体的な対処法から関係修復の道筋まで、詳しく解説していきます。
セックスレスと浮気の深刻な関係性
「セックスレスと浮気って、本当に関係があるの？」と疑問に思う方もいるかもしれません。しかし、多くの調査データが、この二つの問題の間に強い関連性があることを示唆しています。パートナーとの心の距離が広がり、性的な欲求が満たされない状況は、残念ながら浮気へとつながる大きな要因となり得るのです。
本章では、まずセックスレスと浮気の現状について、具体的なデータと共に見ていきましょう。
- セックスレスが浮気に繋がる確率
- なぜセックスレスが浮気を引き起こすのか？その心理とは
セックスレスが浮気に繋がる確率
「うちはセックスレスだけど、浮気なんてまさか…」そう思いたい気持ちはよく分かります。しかし、統計を見ると、セックスレスが浮気のリスクを高めることは否定できません。ある調査では、セックスレスを経験している人のうち、男性の約46.2%、女性の約20.1%が浮気経験があるという結果が出ています。 特に、セックスレスが原因で浮気したと回答した人は、20代男性で2.3人に1人、30代男性では3.3人に1人という高い割合にのぼるというデータもあります。
もちろん、これはあくまで統計上の数字であり、すべてのセックスレスカップルが浮気に至るわけではありません。しかし、セックスレスという状況が、パートナー以外の異性に目を向けさせるきっかけになり得ることは、心に留めておく必要があるでしょう。 この数字は、決して他人事ではない、という警鐘を鳴らしているのです。
なぜセックスレスが浮気を引き起こすのか？その心理とは
では、なぜセックスレスは浮気を誘発してしまうのでしょうか。その背景には、男女それぞれ、そして共通の複雑な心理が隠されています。
まず男女共通の心理として、「自分は異性として魅力がないのではないか」という自己肯定感の低下が挙げられます。 パートナーから求められない日々が続くと、「もう女（男）として見られていないんだ」と感じ、寂しさや虚しさが募ります。 そんな時に、他の誰かから好意を寄せられたり、異性として扱われたりすると、失いかけていた自信を取り戻せたように感じ、心が揺らいでしまうのです。
また、単純な性欲の不満も大きな原因です。 特に性欲が強い側にとっては、パートナーとの間に性的な繋がりがないことは大きなストレスとなります。その満たされない欲求を解消するために、外部に相手を求めてしまうケースは少なくありません。
さらに、コミュニケーション不足による心のすれ違いも深刻です。 セックスレスについて話し合うことを避け続けた結果、お互いの気持ちが分からなくなり、精神的な孤独感を深めていきます。 その寂しさを埋めるために、他の誰かに安らぎや理解を求めてしまうのです。
【ケース別】セックスレスで浮気された時の対処法
パートナーの浮気が発覚した時、頭が真っ白になり、怒りや悲しみでどうしていいか分からなくなるのは当然のことです。しかし、感情的に相手を責め立てるだけでは、事態は好転しません。まずは冷静になり、自分が今後どうしたいのかを考えることが重要です。ここでは、「離婚したくない場合」と「離婚を考えている場合」の2つのケースに分けて、具体的な対処法を解説します。
- 離婚したくない！関係を再構築するためのステップ
- もう無理…離婚を決意した場合にすべきこと
離婚したくない！関係を再構築するためのステップ
浮気は許せないけれど、それでもパートナーとの関係をやり直したい。そう思うのであれば、焦らず慎重に行動することが大切です。
1. 浮気の証拠を集める
皮肉なことですが、関係を修復するためにも、まずは浮気の証拠を確保することが重要です。 これは、万が一話し合いがこじれて離婚に至った場合の切り札になるだけでなく、浮気の事実を相手に認めさせ、誠実な話し合いのテーブルについてもらうために必要な手続きです。 感情的に問い詰めても、言い逃れされてしまう可能性があります。メールやSNSのやり取り、写真、クレジットカードの明細など、客観的な証拠を集めましょう。
2. 浮気相手との関係を清算させる
関係再構築を目指すなら、浮気相手との関係を完全に断ち切らせることが絶対条件です。 証拠を提示した上で、二度と会わない、連絡を取らないという誓約をさせましょう。可能であれば、その内容を誓約書などの書面に残しておくと、今後の抑止力になります。
3. なぜ浮気に至ったのか、冷静に話し合う
相手を一方的に責めるのではなく、「なぜ浮気に至ってしまったのか」その根本原因について、二人で冷静に話し合う時間を持つことが不可欠です。 ここで重要なのは、セックスレスの問題から目をそらさないことです。浮気の原因がセックスレスにあったのなら、その事実をお互いに認め、どうすれば解消できるのかを一緒に考えていく必要があります。
4. 専門家の力を借りる（夫婦カウンセリング）
当事者同士の話し合いでは感情的になってしまい、うまくいかないことも少なくありません。そんな時は、夫婦カウンセリングなど、第三者の専門家を交えるのも有効な手段です。 カウンセラーが間に入ることで、お互いが冷静に自分の気持ちを伝え、相手の意見に耳を傾けることができるようになります。 関係修復に向けた具体的なアドバイスをもらえることもあります。
もう無理…離婚を決意した場合にすべきこと
パートナーの裏切りをどうしても許せず、離婚を決意した場合、感情のままに行動するのではなく、法的な知識を持って計画的に進めることが、あなた自身の未来のために重要になります。
1. 慰謝料請求の準備をする
パートナーの浮気（不貞行為）は、民法上の離婚原因となり、精神的苦痛に対する慰謝料を請求することができます。 慰謝料を請求するためには、浮気の事実を証明する客観的な証拠が不可欠です。 具体的には、配偶者以外と肉体関係があったことを示す証拠（ラブホテルの出入りの写真、性交渉があったと推測できるメールなど）が必要となります。
慰謝料の金額は、浮気の期間や回数、婚姻期間、子どもの有無など、様々な事情を考慮して決められますが、相場としては数十万円から300万円程度と言われています。
2. 浮気相手にも慰謝料は請求できる？
慰謝料は、浮気をしたパートナーだけでなく、その浮気相手に対しても請求することが可能です。 ただし、請求するにはいくつかの条件があります。
- 浮気相手が、あなたのパートナーが既婚者であることを知っていた（または、少し注意すれば分かったはず）
- 浮気があった時点で、あなたたちの夫婦関係がまだ破綻していなかった
これらの条件を満たしていれば、共同で不法行為を行ったとして、浮気相手にも責任を追及できます。
3. 弁護士に相談する
離婚や慰謝料請求は、法的な手続きが絡むため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。 証拠の集め方から、相手との交渉、調停や裁判になった場合の手続きまで、全面的にサポートしてくれます。 感情的な負担を軽減し、あなたにとって有利な条件で離婚を進めるためにも、早い段階で相談しておくと安心です。
【自分自身が】セックスレスが原因で浮気してしまった（しそうな）場合の対処法
この記事を読んでいる方の中には、「セックスレスが辛くて、自分が浮気をしてしまった」「このままでは浮気してしまいそう」と罪悪感や不安に苛まれている方もいるかもしれません。ここでは、そんなあなたのための対処法を考えます。
- まずは自分の心と向き合う
- 関係を続けるか、別れるか
- 知っておくべき法的なリスク
まずは自分の心と向き合う
まず大切なのは、なぜ自分が浮気に走ってしまったのか（走りそうなのか）、その根本的な原因を自分自身で深く見つめ直すことです。単なる性欲の問題でしょうか？それとも、パートナーに満たされない寂しさや、認められたいという承認欲求が根底にあるのでしょうか？
自分の本当の気持ちに気づくことが、今後の道を決定するための第一歩です。もし可能であれば、信頼できる友人やカウンセラーに話を聞いてもらうのも良いでしょう。客観的な視点を得ることで、自分の状況を冷静に整理することができます。一時的な感情に流されるのではなく、自分が本当に望む関係性は何なのかをじっくりと考えてみてください。
関係を続けるか、別れるか
自分の心と向き合った上で、現在のパートナーとの関係をどうしたいのかを決める必要があります。
関係を続けたい場合は、浮気関係をきっぱりと清算し、パートナーと真摯に向き合う覚悟が必要です。そして、関係悪化の根本原因であるセックスレスの問題を解決するための努力をしなければなりません。勇気を出して、自分の寂しさや辛さをパートナーに伝え、二人で改善策を探っていく必要があります。もちろん、正直に打ち明けることで、相手を深く傷つけ、関係が終焉を迎えるリスクもあります。その覚悟も必要です。
一方で、別れることを決意した場合は、相手への誠意として、できるだけ正直に、しかし相手を不必要に傷つけないように配慮しながら、別れを切り出す必要があります。ただし、後述するように、自分から離婚を切り出すことには法的なリスクも伴うことを理解しておかなければなりません。
知っておくべき法的なリスク
セックスレスが原因であったとしても、浮気をした側は「有責配偶者」と見なされる可能性があります。 有責配偶者とは、離婚の原因を作った側の配偶者のことです。
日本の法律では、原則として有責配偶者からの離婚請求は認められにくい傾向にあります。 つまり、あなたが「離婚したい」と望んでも、相手が「離婚したくない」と拒否した場合、裁判になってもあなたの言い分が通らない可能性が高いのです。
ただし、
- 長期間の別居状態にある
- 未成熟の子どもがいない
- 離婚しても相手が経済的に困窮しない
といった条件が揃えば、例外的に有責配偶者からの離婚請求が認められることもあります。 また、当然ながら、相手から慰謝料を請求される可能性も十分にあります。 自分の行動がもたらす法的な結果については、しっかりと理解しておくことが重要です。
セックスレスを解消し、夫婦関係を再構築する方法
浮気問題が一段落しても、その根本原因であるセックスレスが解消されなければ、また同じことを繰り返してしまう可能性があります。夫婦関係を真に再構築するためには、セックスレスという問題に正面から向き合うことが不可欠です。ここでは、そのための具体的な方法をいくつかご紹介します。
- コミュニケーションの取り方を見直す
- スキンシップを増やす
- 非日常を演出する
- 専門家の助けを借りる
コミュニケーションの取り方を見直す
セックスレス解消の第一歩は、何よりもまず夫婦間のコミュニケーションを増やすことです。 しかし、いきなりセックスの話をするのはハードルが高いでしょう。まずは、日々の他愛ない会話から始めてみてください。 「今日こんなことがあったよ」と話したり、相手の話に興味を持って耳を傾けたり。感謝の気持ちを「ありがとう」と言葉にして伝えることも大切です。
そして、少しずつ関係が改善してきたら、勇気を出してセックスレスについての気持ちを伝えてみましょう。 その際、「なぜしてくれないんだ」と相手を責めるのではなく、「あなたに触れたい」「愛されていると実感したいから寂しい」というように、自分の気持ち（Iメッセージ）で伝えるのがコツです。
スキンシップを増やす
セックスに至らなくても、日常的なスキンシップは心の距離を縮める上で非常に効果的です。 手を繋ぐ、肩を揉む、ハグをする、隣に座ってテレビを見るなど、簡単なことからで構いません。
いきなり性的な接触を試みるのではなく、まずは愛情表現として、安心感を与えるような軽い触れ合いから再開してみましょう。 こうした小さなスキンシップの積み重ねが、お互いの間にあった壁を少しずつ溶かし、自然と次のステップへと繋がっていくことがあります。
非日常を演出する
長年連れ添っていると、お互いを「異性」として見ることが難しくなり、マンネリ化してしまうことがあります。 そんな時は、意識的に非日常の空間や時間を作ってみるのがおすすめです。
例えば、
- 二人きりで少しお洒落なレストランに食事に行く
- 思い出の場所へデートに出かける
- 週末に小旅行を計画する
といったことです。いつもと違う環境に身を置くことで、付き合い始めた頃のような新鮮な気持ちが蘇り、お互いを再び異性として意識するきっかけになるかもしれません。
専門家の助けを借りる
セックスレスの原因は、身体的な問題（ED、性交痛など）や、精神的な問題（ストレス、過去のトラウマなど）が複雑に絡んでいる場合もあります。
もし身体的な問題が疑われる場合は、泌尿器科や婦人科などの医療機関を受診することを検討しましょう。 また、精神的なストレスが大きい場合や、二人だけではどうしても解決の糸口が見えない場合は、前述した夫婦カウンセリングを利用するのも一つの手です。 専門家は、問題の根本原因を探り、それぞれのカップルに合った解決策を一緒に考えてくれます。
よくある質問
ここでは、セックスレスと浮気に関して、多くの方が抱く疑問についてQ&A形式でお答えします。
セックスレスを理由に離婚できますか？
単に「セックスレスである」というだけですぐに離婚が認められるわけではありません。しかし、正当な理由なく長期間性交渉を拒否し続けることは、離婚原因の一つである「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性があります。
離婚が認められるかどうかは、
- セックスレスの期間
- 性交渉を拒否する側に正当な理由があるか（病気、高齢など）
- 夫婦関係が既に破綻しているか
- 関係修復のための努力をしたか
などを総合的に考慮して判断されます。 話し合いに応じてもらえない、拒否の理由が不合理であるといった場合は、離婚が認められやすくなる傾向にあります。
セックスレスが原因で浮気した場合、慰謝料は減額されますか？
はい、減額される可能性があります。
浮気（不貞行為）は許されることではありませんが、その背景に長期間のセックスレスがあり、浮気をされた側にもその原因の一端があると判断された場合、慰謝料の金額が通常よりも低くなることがあります。
ただし、これはあくまで「減額される可能性がある」というだけで、浮気が正当化されるわけではありません。浮気をした側が有責であることに変わりはなく、慰謝料の支払い義務がなくなるわけではないことを理解しておく必要があります。
浮気をした有責配偶者から離婚を請求されたら、応じなければいけませんか？
いいえ、応じる義務は原則としてありません。
前述の通り、離婚の原因を作った有責配偶者からの離婚請求は、原則として認められません。 相手が離婚を望んでも、あなたが拒否すれば、裁判になっても離婚は認められない可能性が高いです。
ただし、長年の別居など、夫婦関係が完全に破綻していると認められるような特定の状況下では、例外的に離婚が認められることもあります。 もし相手から離婚を迫られている場合は、一人で悩まずに弁護士に相談することをおすすめします。
財産分与や親権にセックスレスや浮気は影響しますか？
財産分与には、原則として影響しません。 財産分与は、夫婦が婚姻期間中に協力して築いた財産を公平に分配するための制度であり、離婚の原因がどちらにあるかは問われません。そのため、貢献度に応じて基本的に2分の1ずつ分けることになります。
親権については、セックスレス自体が直接影響することはほとんどありません。 親権者を決める上で最も重視されるのは「子の福祉」、つまりどちらの親と暮らすのが子どもの健全な成長にとって最も良いかという点です。これまでの監護実績や、今後の養育環境などが総合的に判断されます。 ただし、浮気にのめり込んで育児を放棄していた、などの事情があれば、親権争いで不利になる可能性はあります。
まとめ
- セックスレスは浮気のリスクを高める統計的データがある。
- 浮気の原因は性欲不満だけでなく、自己肯定感の低下や孤独感も大きい。
- 浮気された場合、関係修復を目指すならまず証拠確保と冷静な話し合いが重要。
- 離婚を決意した場合は、慰謝料請求のために法的な証拠が不可欠。
- 浮気相手にも条件を満たせば慰謝料を請求できる。
- 自分が浮気した場合、「有責配偶者」となり法的に不利な立場になる。
- 有責配偶者からの離婚請求は原則として認められにくい。
- 関係再構築には、セックスレス問題そのものに向き合う必要がある。
- 日常のコミュニケーションとスキンシップの増加が解消の第一歩。
- 非日常の演出やデートは、マンネリ解消に効果的。
- 当事者だけで解決が難しい場合は、夫婦カウンセリングも有効な手段。
- セックスレスだけを理由とした離婚は簡単ではない。
- セックスレスが背景にあると、浮気の慰謝料が減額される可能性がある。
- 財産分与は浮気の有無に影響されず、原則2分の1。
- 親権は「子の福祉」が最優先で判断される。